UXデザイナーの仕事内容と身につけるべきスキルを徹底解説

世の中を取り巻くビジネスはただモノを売る時代から、コトを売る時代へ様変わりし、バットを振れば大当たりするプロジェクトは無くなりつつある。

選球を見極め、確実にバットを当てられるようにするのがUXデザイナーの役割だ。

しかし、UXデザイナーと最近良く聞くし、「なんかすげえ仕事」といったように漠然と解釈している方も多いだろう。それだけUXデザイナーの仕事内容はイメージしにくいのだ。

そこで今回はUXデザイナーとはどのような仕事をし、どのようなスキルが必要なのか?を解説していこう。

UXデザインとは?

UXデザインとは、モノやサービスを通して得られる体験を作ることをいう。

目的は『最高の体験をユーザーに与える』ことなので、モノやサービスの質だけではなく、そこに至るまでの経緯や利用した際の扱いやすさなども含む。

 

例えば、コーヒーショップで提供されたのが”一流の美味しいコーヒー”だったとしても、サービスの質が悪かったり、オシャレな空間でなければファンは増えないだろう。

味もサービスも空間も、メニューやオペレーション、スタッフの身だしなみに至るまですべてがUXデザインの要素なのだ。

 

UXデザイナーの仕事

では、UXデザイナーとはどういった仕事を行なっているのか?大まかな内容をご紹介しよう。

注意していただきたいのは、ここで紹介する内容は代表的な一例であり、この通りのプロセスを踏めば、UXデザイナーの仕事を全うできるということではない。

事実、UXの研究者は日々UXについて考え、様々な論文を発表しているし、時代の流れに合わせて手法も変わっているので日々アップデートしていく構えが必要だ。それを踏まえて目を通していただけると幸いである。

 

・カスタマージャーニーマップの作成(ユーザーの動向)

・ペルソナの作成(仮想顧客の設定)

・A/Bテストの実施、分析(ユーザーの反応を伺う)

・ユーザーリサーチ実施(ユーザーの潜在的な欲求は何か?を深掘りする)

・ワイヤーフレームの作成(大枠の設計図を作る)

・プロトタイプの作成(試作)

・ユーザビリティーリサーチを実施(試作品をテストし、良し悪しを見定める)

・テストの結果を踏まえ、改善点を抽出(テストユーザーの意見を基に改善する)

 

となっている。

見てわかる通り、UXデザイナーはプロダクトの始まりからゴールまでの全てのフェーズで関わる最重要ポジションであることが分かったと思う。

UXデザイナーとは自由な発想や物事を柔軟に捉える姿勢が必要な、まさに創造的な仕事なのだ。

 

UXデザイナーの身につけるべきスキルとは

では、UXデザイナーになる上で必要なスキルとはなんだろうか?それは総合力である。

【コミュニケーション能力】

→ビジネスゴール達成には、プロジェクトマネージャー、ディレクター、マーケター、エンジニア、UIデザイナー、など様々なステークホルダーで構成されており、チームが一丸となって動かなければならない。

「ユーザーの不満を解消する=ゴール」という課題をクリアしていくためには、ユーザーの声を分析・把握しているUXデザイナーがチームとのコミュニケーションを密に行い、そのゴールに向かって「チームが何をすべきか?」のすり合わせていくことが非常に重要なのだ。

そのため、コミュニケーション能力は欠かせない。

 

【データの分析能力】

→「最高のUX」を生み出すために、ユーザーの声はなくてはならない要素だ。

例えば、webサイトの訪問者数(pv)を増やしたいという目的がある場合、UXデザイナーはユーザーインタビューやアンケートなどの情報を基に、ペルソナ(仮説)を立て、アナリティクスツールで実際の訪問者数や、滞在率との照らし合わせをした上で改善策を考えなければならない。

このようにユーザーから手に入れた情報と既存の情報を比較、分析する能力は必須なのだ。

 

【マーケティングに関する基礎知識】

→新規のプロジェクトはもちろん、既存のビジネスだとしても、よりよくするするためにはマーケティングに関する基礎知識が欠かせない。

マーケティングとは、端的に言い表すと「自社の商品・サービスはすごいんです!ぜひ利用してみてください!」ということを実際に行うことである。

そのためには、競合相手の「どのようなデザイン(見た目)で、内容で、どれぐらいの市場規模でどのぐらい売り上げシェアを占めているのか?」などを調査したり、SNSなどを使ってトレンドを調べるなど、ターゲットとしているユーザーが何に興味を持っているのかなどマーケティングのノウハウにのっとった情報収集能力はとても重要だ。

市場状況を把握できていることで、競合に対して優位に立つことができるし、ユーザーへのアプローチの方法も豊富に起案できる。

 

【ユーザーに対する共感力】

→ユーザーに共感できることは、ユーザー視点でプロダクトできることでユーザー体験を向上させるのがミッションである。UXデザイナーには欠かせない能力だ。

 

【コーディングやプログラミングに関しての知識】

→webサービスなどの場合、クライアントとのヒアリングや自身が属しているプロジェクトチーム内のエンジニアとのやりとりの中で、コーディングやプログラミングの知識は必要になる。

 

【論理的であり、直感的であること】

→ノウハウに従った論理的な思考だけでは、ユーザー体験を向上させることは難しい。ユーザーの視点に立った、感覚的なUXデザインも必要である、双方を融合させることが質の高いユーザー体験を生み出すベストな手段だ。

 

【チームを支えるマネジメント力】

→UXデザイナーは一人で仕事をすることはなく、常にチームと一緒に動く。そのため、チーム一人一人の状況を確認し、時にはアシストしたり、リラックスさせる必要がある。相手の立場になって考え、行動できる気配りさは重要だ。チームを支えるマネジメント力が求められる。

 

UXデザイナーとして活躍するのに必要なこととは

先ほど述べた身につけるべき必要なスキルを理解した上で、UXデザイナーとして活躍するにはどうしたらいいだろうか?

実はいつの時代のビジネスでも大事にされてきた「心構え」が重要だっだりするのだ。

 

1. チームワークを第一に!協調性

UXデザイナーはチームで動くことがメインである。クライアント先のヒアリングやユーザーとのコンタクト、そして自身が身を置くチームとの対話。常に誰かと仕事をすることが前提だ。

その中でUXデザイナーは、チームに所属するプログラマーやデザイナーなどのクリエイターが持つ専門的な領域を理解・把握し、それらを上手く融合させることで、ユーザーの期待に応えていくことが求められる。

 

2. 「まずはやってみる!」俊敏さ

ユーザーから得た情報を基に、段階を踏んで着実に形にしていくよりは兎にも角にもまずはスピード重視で試作することが大事である。

試作し、ユーザーにテストしてもらうことで、さらに踏み込んだ検証ができ、精度の高いプロトタイプを生み出すことができる。

最初から完璧を作ろうとしても、それは自己満足に過ぎず、ユーザー視点ではない。あくまでユーザーの声がより良いUXの要素なのだ。

 

3. デザインに対する考え方をフレキシブルに変化させる柔軟性

見た目でいうところのデザインは、UXデザイナーにとって、あくまでユーザー体験向上という目的の手段の一つでなければならない。

良いデザインでも、ビジネス視点での目標をクリアするのに必要かどうかを見定める必要があるし、もっと言えばその基準で冷静に判断できる柔軟性が必要だ。

ブランディングによっては「そのデザインは要らない」ということもあるだろう。

ヴィレッジバンガードのwebサイトに、ミニマムなデザインは必要だろうか?あるいは、牛丼チェーン店の内装にゴージャスなデザインは必要だろうか?その答えを導き出すのはUXデザイナーの大事な役割だ。

 

4. チームの力を一つにまとめるコミュニケーション能力

プロジェクトの始まりからゴールまで伴走するUXデザイナーは、チーム内でのコミュニケーションはもちろん必要だが、それと合わせて求心力も重要となる。
ただ仕事をするだけではなく、プロジェクトの成功を通じてチームや企業にどのようなメリットがあるか?も踏まえて仲間と共有することができれば、チームの力を結束することができ、より良いUXデザインのプロダクトを生み出せるだろう。

そのためには人間的な魅力を引き出し、多くの知見やいろんな考え方をを得るため、様々な人とのコミュニケーションを楽しんでみるのも大切だ。

 

5. どのような働きかけでユーザー体験を向上させるのか?精度の高い想像力

UXデザイナーにとって、常に俯瞰で物事の全体を見ることは非常に大切なことだ。というのも、いくら優秀なチームとはいえ、プロダクトの途上で没頭するあまり、固定的な見方や検証になってしまうことが多い。
そういった偏りを正す、という意味でもUXデザイナーは様々な角度(ユーザー視点)からシミュレーションし、ユーザーリサーチなどから得た情報を加味しながら改善していかなければならない。「ユーザーならどう感じるか?どう思うか?」と常々考えることが大事なのだ。

 

仕事ができるUXデザイナーになる条件

「業界の第一線で活躍できる優秀なUXデザイナーになるには、どのような条件が必要なのだろうか?

それはバランスを保てる人になること。どういうことかというと、デザイン、ビジネス、エンジニアの3つの視点を持ち合わせるということだ。

UXデザイナーという仕事は前半で述べた仕事内容を見てわかるように、ユーザー、クライアント、プログラマーやデザイナーなどのクリエイターまで…プロジェクトに関係する様々な人と関わる。

UXデザインのゴールである「ユーザーに体験を通じて価値を提供する」、クライアントと設定する「ビジネスのゴール」に向かってデザイナーやエンジニアと協力し、解決へと導いていくことが優秀なUXデザイナーの条件だ。

そのためには、グラフィックデザインやコーディング、プログラミングなど他ジャンルに精通した知識を兼ね備えることが必要である。

 

プロジェクトを通じて、ユーザー、クライアント、チームメイトと様々な人とコミュニケーションをとるUXデザイナーは常に誰かと一緒に仕事をしている。また、仕事外でも異なるフィールドで働く人たちとのディスカッションによって新たなビジネスチャンスに繋がるかもしれないし、様々な考え方を知り、自身にインプットすることで自身のUXデザイナーとしてのパフォーマンス力向上にも繋がるだろう。

UXデザイナーとは案外、おしゃべり好きな人に向いているかもしれない。