メタファーとは?種類も合わせて徹底解説!

メタファーと聞けば「なんだか会議で聞いたことがある」「webデザインの勉強をしていて聞いたことがある」なんて方もいるだろう。実は小説を書く上で必要であったり、ゲームや音楽などにも活用されているなど、様々なシーンでメタファーが使われているのをご存知だっただろうか?

本記事では、無意識に使っていることが多いメタファーを、例文を使って分かりやすく解説していく。

メタファーとは?

メタファー(metaphor)を辞典などで調べてみると「隠喩(いんゆ)や暗喩(あんゆ)とも呼ばれ比喩(ひゆ)の一種であるものの、比喩の形式をとらないものを指す。」というようなことが書いてある。

メタファーとは分かりやすく言えば、「物事や心情を例えに置き換えて説明すること」である。

“置き換えて”というのがとても重要であるが、物事や心情をたとえる内容が類似していたり、または関係している内容であることもポイントだ。

メタファーと直喩の違い

比喩にはメタファーの他に直喩と呼ばれるものある。直喩もメタファーと同様に日常生活でよく使われる表現であるが、使い分けている人はあまりいないだろう。

しかし、メタファーと直喩の双方を理解できれば、相手に物事を伝える際、有利となることが多い。似ているようで異なるメタファーと直喩、それぞれどう違うのかを見てみよう。

メタファーは直喩よりもはっきりとした表現になる

【直喩の例文】
「このりんごはハチミツのような甘さもありながら、洋梨のような爽やかさもある」

【メタファーの例文】
「このりんごは初恋の味だ」

直喩は「りんご」と「ハチミツ」という言葉を明白に分けてたとえている。対して、メタファーは「りんご」を「初恋の味」と明言しており、相手の「初恋の味」のイメージに委ねることで、人によっては捉え方が変わる余地を与えている。

初恋の味、と聞いてみなさんは何を連想しただろうか?「甘酸っぱさ」や「ほろ苦い」「爽やか」など様々な心情を思い描いたかもしれない。直喩は具体的にたとえることで、言葉を豊かに表現することができ、メタファーは直喩よりも明確ではっきりとした表現することができる。

メタファーはインパクトがあるが、その分相手によって伝わり方が異なるという点も押さえておこう。

メタファーの種類

物事を分かりやすく伝えていく際、闇雲に隠喩や暗喩を使用すれば良いというものではない。相手に合わせて使い分ければ、分かりやすく伝えることができるのだ。

メタファーを使った表現方法は比喩のほかに3種類あり、それぞれ効果が違う。具体的には、以下のような内容だ。

引用

引用とは書籍やある文章などをそのまま記述するということで使われることが多いのだが、メタファーにも応用できる。伝える大切さを相手に説く場合、例えばこういう格言を引用してみるとどうだろうか?

【引用の例】

「儒教の祖である孔子が「辞は達するのみ」と言っていたように、言葉は伝わらないと意味がないんだよ。」孔子は2,000年以上に渡り中国やアジアで影響を持つ儒教を開いた偉人だが、ピンとくる人、こなかった人もいるだろう。引用の大事なポイントは、相手が尊敬している人物の言葉を使って伝えること。そうすることで、素直に聞き入れることができ説得力のある表現が可能となる。

おとぎ話を基にしたもの

おとぎ話や伝記、自身の体験談などを交えて話すことで、聞き手はイメージを膨らませることができ、相手に伝わりやすくなるという方法もある。

【物語の例文】

「オオカミ少年の話を知っているだろうか?とある村に羊飼いの少年が住んでいた。少年は平穏な毎日に飽き飽きしていた。退屈しのぎにいたずらでもしてやろうと考えた少年は、村の大人たちに「狼が出たぞ〜!」などと嘘をついて騒ぎを起こしたそうな。だまされた大人たちはこりゃ一大事だ!と、武器を持って出てくるが、少年の嘘だと知り、安堵とともに呆れかえった様子だった。少年はその後も、繰り返し同じ嘘をついては大人達の慌てた様子を見て楽しんでいた。ある日、本当に狼が現れてしまい、少年は大人たちに「オオカミが来たぞ〜!」と伝えて回るが大人たちは誰も信用せず、助けに来なかった。そして村の羊は全て狼に食べられてしまった。このように、嘘をついてばかりいると誰からも信用されなくなり、嘘を重ねてしまったことを後悔することになるだろう」

このようなおとぎ話を話した上で嘘をつくことはダメ!ということを伝えると相手の心に響くだろう。また、伝える相手の年齢層などを加味してメタファーとなる物語を選定すると良い。(子供ならおとぎ話、学生や大人なら経験談など)

選択制限違反

選択制限違反とは、言語学の専門用語である。本来組み合わせることのない言葉同士をあえて使うという表現方法だ。この表現方法により、ユニークかつ分かりやすく伝えることができる。

【選択制限違反の例】
1.「君は頭の回転が早いなぁ」
2.「彼は次のプロジェクトに向けて燃えている」
3.「目が回る忙しさだ」

1〜3にある「頭の回転が早い」「燃えている」「目が回る」が現実に起きてしまうと大変な事態となるが、実際は心情やイメージとして表現されている。

擬人法

「流れ星が夜空を駆け抜けていく」

上記のように流れ星が駆け抜けることはないが、星が流れるという表現よりは詩情的であるし個性的だ。

メタファーを使うメリットとデメリットとは?

メタファーのメリット

分かりやすい!

メタファーを使って表現することで、相手にわかりやすく伝えることができる。例えば、複雑で難しい説明をしなければならない場合、専門的な知識が相手になくともメタファーを使って分かりやすく説明することができるだろう。大事なポイントは相手が知っている言葉や体験を使って表現することだ。

メタファーのデメリット

誤解される可能性がある

メタファーのデメリットは本来伝えたい意図とは違った形で受け取られる可能性があるということだ。メタファーとは隠喩(いんゆ)や暗喩(あんゆ)と呼ばれているだけあって、間接的で意図を受け取った側の主観が中心となる。

例えば女性に「あなたのその美しくて黒い髪はカラスのようで素敵だ」と伝えたとしたらどうだろう?極論だが、あなたの中で”カラス=美しい黒”だったとしても相手の女性からすると、そうは限らない。伝える相手の価値観に合わせて表現することも大事なのである。

まとめ

メタファーは直感的に分かりやすく、そして印象深く伝えるのにとても良い表現方法だ。

形式的な言葉で事務的に伝えても相手の心には響かないだろうし、伝える側も楽しくない。そんな時にメタファーを使ってみるとのはいかがだろうか?きっと伝えるあなたにとっても、聞く相手にとってもメリットがあるはずだ。

また、昨今は対面で話す機会が減り、チャットなどのメッセージでやりとりすることが多くなってきた。そういったシーンでもメタファーを用いた文を豊かに表現することができ、見るものに新鮮味を与えてくれるので効果があると思う。

今回お話したメタファーは文法について解説したが、実はデザイン面でのメタファーというのもある。デザイン面でのメタファーというのはwebサイトやアプリケーションを作る上で重要であったりするのだが、こちらのお話は次回にするとしよう。