HYUGA PRIMARY CARE株式会社
HYUGA PRIMARY CARE株式会社
HYUGA PRIMARY CARE株式会社(以下、HYUGA PRIMARY CARE)は「きらり薬局」を九州、関東圏を中心に50店舗以上展開し、在宅患者、医療・介護従事者の抱える課題を解決し、幅広いプライマリーケアのプラットフォーム実現を目指している企業です。
HYUGA PRIMARY CAREでは早くから情報管理のDX化を推進し、患者様に処方される薬歴管理をシステム化しました。薬の処方データを一元管理することで情報共有が円滑になり、患者様に薬だけでなく、安心と安全を届けられるよう、取り組まれています。
データの一元管理による効率化を目指すうえで、徐々に課題として浮かび上がってきたのが「情報の入力」という人力での作業です。薬歴管理システムでは特定のルール下において情報入力する必要があるため、いくつもの選択項目の確認やテキスト情報の読み込みが必要になります。また、各店舗にて入力された情報を集約管理する本部においても、データ入力確定作業の時間の膨大化が課題になっていました。
現場の要望に合わせて薬歴管理システムの仕様を変更するには、多くの時間とコストが必要となることが想定できたうえ、システムの仕様変更が現場オペレーションの大幅な変更を伴うため、PowerAutomateDesktopを用いたシナリオ構築による、情報入力の作業の自動化を選択しました。薬歴管理システムのUIや仕様を変更せず、人力で対応しているフローの時間を短縮することにしました。
PowerAutomateDesktopの自動化フローにより、薬歴管理システムに人力で入力していた一部のフローや、本部にて実施される入力データの確定作業などの時間を削減、大幅な時間コストの削減を実現しました。
また、要件ヒアリング、シナリオ構築、テスト、導入まで1ヵ月という短い期間で導入できたため、通常のシステム開発で陥りがちな、長期間にわたり莫大な費用を投じることもありませんでした。
実際に患者様と会話し、システムへのデータを入力している店舗の薬剤師から、「薬歴管理システムが表示する薬歴情報を要約してほしい」「情報が多すぎて、読んでいたら患者様と会話する時間が減ってしまう」といった現場オペレーションとのギャップが発生しているという課題もお聞きしました。
アイエンターでは早くから生成AIの業務導入を推進していたこともあり、今回のPowerAutomateDesktopのシナリオにAIをかけ合わせた構築をしました。薬歴管理システムが表示する数百~数千のテキスト情報を独自のAIプロンプトで処理し、患者様に関わる膨大なテキスト情報を、薬剤師が一目で確認できる文章量に要約する仕組みです。
これにより、薬剤師が事前に確認するための時間が削減され、患者様に安心と安全を届ける時間を増やすことができました。また、患者様の情報は機密情報になりますので、AIのセキュリティレベルに問題がないことも確認しています。
超高齢社会のわが国では、今後もさらに高齢化が加速し、2025年には65歳以上の高齢者が人口の3割を超えると推計されています。これに伴って、介護や支援を必要とする方も年々増加しており、「要介護状態にあっても、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを送りたい」というニーズに応える環境づくりが急がれています。
HYUGA PRIMARY CAREは在宅医療・在宅介護を支えるこの事業の社会的な意義を強く認識し、医師、看護師、ヘルパー、ケアマネージャー、福祉用具事業者等とも積極的に連携を図り、「地域包括ケアシステム」の構築に貢献しています。プライマリーケアのプラットフォーム実現に向け、ITテクノロジー融合は欠かせない要素になりますので、今回の実績を踏まえ、同業界へのノウハウ展開を検討されています。